別アングル 小竹康裕 episode.3

別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。
そんな想いでこの記事を書きます。

小竹康裕

柏崎市出身。株式会社juraice 代表取締役。
市内高校を卒業後、飲食店開業を目指し新潟市で修行。
同時にインターネットで通販事業を開始。
柏崎に拠点を移し通販の事業所を設立。
2023年6月に地域活動支援センターから就労までの一体型施設をオープン予定。

トラブルを乗り越え、他人の気持ちにも目がいくようになる。
自分達の店が一位を取るということは取れていないお店がいるということ。
他の店に負けじといろんな手を打ってきたけど、その人たちにとっては嫌なコトだったんだなって。
インターネットとは言ってもやっぱり人と繋がっているんだ。 人のいやがることはしないと決めた。

稼ぎ頭のお店が無くなったことによって、時間が出来る。
今まで気が付かなかった時代の流れにも気が付く。
新しいビジネスの可能性、Instagramだ。
復活後の新しい事業はInstagramのインフルエンサーと一緒に構築していった。

2人目の子どもは女の子だった。
小学校にあがったとき、突然発作を起こした。
嘔吐して高熱が出て全身が痙攣する。
「これはうちの病院じゃ診れない!日赤病院に搬送する」
駆け込んだ病院からすぐ長岡の病院へ。

そこから一ヵ月ほど検査入院。
娘の身に何が起きたんだろう…。
思い返してみると保育園でも生活についていけない感じはあった。
覚えが悪く、発育測定でも気になることがあって病院に行ったこともあった。

検査の結果、娘は「メラス」という名前の難病であることがわかる。
知的障害も重複している。
ミトコンドリア病といって一日生活するためのエネルギーを作る機能が欠損している。
年を重ねるにつれ、だんだん寝たきりになっていく病気だ。
早く死んでしまうこともあるという。
正直、自分が障害の当事者になるとは思っていなかった。
これからの生活の想像がつかない。不安しかない。

その反面、ホッとしたこともある。
家で子どもとご飯を食べていると全然食べないから、親としては心配で「頑張って食べよう」って無理に口に運んだこともあった。
保育園の行事でも他の子と違ってお遊戯が上手にできない。
子どもは泣きながら親は歯を食いしばりながらやってきた。
だからこの検査で病気があることがわかって、ホッとした。
この子は難病だったからうまくできなかったんだ。

学校側にも体制を整えてもらい、日常生活もなんとか送れるようになると希望が出てくる。
「この子は大丈夫なんじゃないか。もしかしたら長く生きられるんじゃないか」って。
中学、高校卒業が見えてきたとき、仕事のことが目に付くようになった。
家で引きこもらせたくはない。 できることなら一般就労を目指したい。

自分の次なるミッションが定まった。
子どもが卒業した後、働ける場所を柏崎に作る。
いま柏崎には就労継続支援A型およびB型事業所がある。
このまちの福祉業界の方たちが築いてきたものだ。
一方、うちの娘はケーキ屋さんがしたいとか、喫茶店がしたいという女の子らしい憧れがある。いまの柏崎では娘がその職に就くのは難しい。
障害者が仕事を選べる環境が、もっとこのまちにあるべきなんじゃないか。
自分が障害者の職の選択肢の幅を広げよう。

そう思えると、イキイキハツラツとしてくる。
「世界を変えられるかもしれない」
自分の娘から始まり、広く世の中社会に対して自分が関わる接点を見つける。
インターネットの仕事という特性上、いままでは柏崎というまちに出て仕事をしたり関係を構築してこなかった。
けれどもいまは違う。まちを良くする仲間や地域で頑張る人たちとの関係もできてきた。
熱狂できるものを見つけられて、娘の存在がありがたい。

IT×福祉の新しいカタチを柏崎に作る。
2023年6月に柏崎に新しい障害福祉の施設を立ち上げる。
施設の事業のために通販用のスイーツベーグルを開発。
利用者さんが好きな時に好きなだけ作り、冷凍、ストックする。
一人一人のペースに合わせて負担もなく、廃棄も少なく済む。
21年以上の通販会社だからノウハウも充分だ。

アクセサリーの輸入で培ったノウハウでアフリカの珍しい観葉植物も仕入れる。
観葉植物であれば水管理も容易で、障害があっても栽培がしやすい。
珍しい観葉植物を、海外の作家が作るアートの鉢に入れて販売する予定だ。
観葉植物は通販もするし、施設内に実店舗も構える。
店内の天井には障害のある方が描くアート作品を飾る。
最初の一歩である地域活動支援センターから就労までの一体型施設を作る。
培ってきたビジネスの力をフル動員して、この施設を作ることに熱中していこうと思う。

※MAZAQ株式会社では一緒に働いてくれるサービス管理者を募集しています。
ご興味のある方はぜひご連絡ください。
https://www.mazaq.jp/

photo:ヒロスイ

2023年4月12日 17:44

カテゴリー / まちから

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投稿者 / yajima