別アングル 小竹康裕 episode.1

別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。
そんな想いでこの記事を書きます。

小竹康裕

柏崎市出身。株式会社juraice 代表取締役。
市内高校を卒業後、飲食店開業を目指し新潟市で修行。
同時にインターネットで通販事業を開始。
柏崎に拠点を移し通販の事業所を設立。
2023年6月に地域活動支援センターから就労までの一体型施設をオープン予定。

有り余るエネルギーのぶつけ先がわからない。
「なんかあるんじゃないか。面白いことに出会えるんじゃないか」
そう思いながら夜のまちをブラブラ歩く。
暇な高校生が夜に外で遊ぶと言えば、自然とやんちゃなこともする。

気が付けば反抗心があった。人の言うことが聞けない。理由は無い。
中学の頃には、タバコを吸い始める。
髪を染めピアスをあけ、バイクにも興味が出てくる。
その頃に憧れたのは「特攻の拓」「BADBOYS」とかの、暴走族の世界。
雑誌だと「チャンプロード」とか。

まぁ高校生になるころには時代も変わっていて、暴走族にはならなかったのだけど。
雑誌「Men’s egg」が愛読書のギャル男になっていた。
16歳で中免を取得。乗るバイクは族車じゃなくアメリカンタイプ。

小さい町だから、悪いヤツはほぼ顔見知り。
同世代同士でのケンカは少なかったんじゃないかな。
ただ目立ってたから先輩には目をつけられた。
あるとき、先輩に呼び出され車に乗せられて峠に連れていかれた。
先輩につめられて峠を下っていくと仲間が迎えに来てくれた。
「大丈夫だったか!?」って。

仲間と過ごすのは楽しいけど、違和感もだんだん覚えてくる。
仲間と一緒に「とりあえず」で発散するエネルギーがどうしても、嫌だった。
このまま就職して仕事をして、多分仕事終わったら、みんなとまた会って、酒を飲んで、
また次の日が来るっていう将来は目に見えている。

自分の中にあるエネルギーを浪費したくない。
高校生の頃から起業を目指し、計画を練り始めた。
とにかく自分で何かやりたい。挑戦したい。
起業をするために何をやればいいか、計画を立てる。
授業中、紙に計画を書き出す毎日。

卒業後、新潟市に移り住んだ。
高校時代、ずっとバイトで酒屋をしていたこともあり、起業するなら飲食店だと考えていた。
料理とお酒を出すダイニングバーだ。
俺はお酒、強いわけじゃないんだけどね。
お酒を提供しているお店の雰囲気とか、おもてなしとか、そういう夜のお店が好きなんだ。

昼から朝まで飲食店の、それも接客に携わる職場で修業。
昼夜逆転のハードな仕事だったけど、修行だと思っていたし、エネルギーは有り余っている。
自分のお店の内装デザインを妄想しながらお金も着実に貯めていった。
高校のころの貯金と合わせると、居ぬき物件なら借入無しでも飲食店が始められるほどにお金が貯まった。
けれども料理のことや接客のことを勉強していけばいくほど、自信がなくなっていく。
情報を詰め込み過ぎて、なにをしていいのかわからない。

お金があってもお店を始めることができなかった理由がもうひとつある。
結婚して子どもが生まれた。
子どもがいる中で、夜の仕事をしているイメージがわかなかった。
ちゃんと安定した昼間の仕事がしたくなった。
いくら開業資金がたまっていても、新しくできた家族のことを考えると勢いだけでいきたくはない。

夜の仕事を辞めて建設現場の仕事を始める。
給料が良いという単純な理由で、鳶を選んだ。
これがつらいのなんのって…。
不満とストレスがすごい。
会社員だから当然、上の人の話を聞かなければいけない。
仕事が暇でも掃除したり倉庫の整理整頓したり。
仕事だから上司の言うことを聞くのは当たり前なんだろうけど。
人の言うことが聞けない、社会不適合者なんだな。

つらいのにはわけがある。
夜の仕事をしているときから副業をしていた。
インターネットでアクセサリーを売る仕事だ。
時代はヤフーオークションや魔法のi らんどなどのITバブルの時代。
インターネットに興味があって、ホリエモンやサイバーエージェントの藤田さんの本を読み漁っていた。
インターネットなら、子どもと遊んで自由に過ごして夜に子どもが寝てから仕事ができる。
インターネットの世界に夢中になっていたから、鳶の仕事に気がいかなかったんだ。
お金も鳶以上に稼いでいたから余計にね。

episode.2へ続く

photo:ヒロスイ

2023年4月12日 17:44

カテゴリー / まちから

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投稿者 / yajima