別アングル 新保 秀明 episode.1

別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。
そんな想いでこの記事を書きます。

新保 秀明

柏崎市出身。太鼓集団 鼓明楽(こあら)所属。
大学時代に和太鼓と出会う。
イベントや福祉施設での太鼓演奏を中心に、大小さまざまな舞台に立つ。
年間50回ほどある公演では伝統にとらわれず、自分たちにしかできない演奏を打ち出している。

「お地蔵さんはどこにいますか?」
散歩途中ですれ違うおばあちゃんに尋ねて回る。
お地蔵さんを見つけるとお菓子をお供えするんだ。
小さい頃、お地蔵さんが大好きだった。
よく覚えていないけど、お地蔵さんの頭の丸みが好きだったり、好きな色だった赤色の前掛けを付けていたりしたからかな。

生まれたのは柏崎。
父の転勤で埼玉に数年いて、4歳頃にこっちへ戻ってきた。
埼玉でもお地蔵さんを探していたよ。

小学生のある時。
鼻炎でうまく言葉が出ないときがあった。
友達数人と言葉遊びをしていたんだけど、俺のせいでうまく言葉遊びが成り立たなくて。
それがきっかけで言葉がうまく出なくなってしまった。
それからというもの、しゃべろうとすると喉で詰まってしまって、吃音いわゆる「どもり」が出てしまうようになった。

授業中、教科書の回し読みが回ってくる。
順番が自分の近くまで来ると本当に怖い。
心臓がバクバクして顔が熱くなる。
きっと真っ赤な顔になってるんだろう。

家族や仲の良い友達は普通にしゃべれるんだけどね。
先生とか初対面の人とどもるから、しゃべるのが本当にいやになった。
先生の理解も無い。
「どうして読めない!?」って言われて、本当にショックだった。
それまでは性格も明るかったのに…。
その頃は口数が少なくて、緊張しいで、教室のすみっこにいる感じ。

イジメられていたワケじゃない。
ただ緊張するとあがってしゃべれなくなってしまう。
「もうおれのことはそっとしておいてほしい」
中学、高校と進んでも、ずっと変わらずそんな調子。

人とコミュニケーションを全くとらなかったかというと、そんなこともない。
オンラインのゲームを通じてたくさんの人と話した。
ボイスチャットで話すときは不思議と言葉が自然に出る。
年代、性別、所属の枠を超え、ゲームと言う共通の趣味を通じて、いろんな話をした。
「尿結石が痛いんだよなー」と言う50代のおじさん。
別の人が「水をいっぱいの飲むといいらしいよ」と反応する。
高校生がいたり、看板屋さん、ホストなんかもいたり。
ゲームの合間にいろんな話をするんだ。

社会勉強もゲームの中でした気がする。
言葉遣いやマナー、オンラインの中にいる大人たちの姿から、それを学ぶ。
適度にフランクだけど、自己中心的じゃない大人な文章。
知らなかったことをたくさん学んだ。

高校ではメチャクチャ勉強をした。
たぶん「逃げ」もあったのかな。
工業高校だったんだけど、勉強したらしただけ順位が上がっていって。
学級で一番の成績を常にキープ。
良い点が取れるのは気持ちいいし、優越感が持てる。
学校ではしゃべらずに、黙々と勉強していた。
部活は柔道部。
これも個人戦で礼儀ができていれば言葉がいらなかったから。

長岡にある大学に進学。
周りには知り合いが全然いない状態で、友達もいない。
そんなところにポンっと1人入っていく。
人としゃべるのは相変わらず、まだ苦手なまま。
けれどなんとかしなきゃいけないとも思っていて。

どうしたらどもりがなくなるか。
なんとなくわかってはいた。
「自信」が関係しているんだ。
高校では勉強を頑張って学級で一位をとっていた。
勉強のことを聞かれるとしゃべれるんだ。
自信がつけばつくほど、その分野のことを話すときはどもらない。

「サークルに入って何かに打ち込もう。そして自信が持てる自分になろう」
大学では今までの様に個人競技ではなく、団体で何かをするサークルに入ろうと考えた。

episode2へ続く

photo:ヒロスイ

2022年3月31日 23:57

カテゴリー / まちから

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投稿者 / yajima