別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。
そんな想いでこの記事を書きます。
加藤 大和
柏崎市出身。
小さい頃から実家裏の山で遊ぶ。竹や木を伐り山の整備を行う。
郷土史やバイク、アウトドア、キャンプが好き。
いろんな人が自分たちのやりたいことを山の中で出来るよう、仲間たちと一緒に里山を整備中。

家の裏山で過ごす時間が増えて、たまに野営するようになる。
そうすると泊まる場所をきれいにしたくなる。
生え散らかっている竹を伐採する。
野焼きはそうそうできないから切った竹や木は仕方なく積み重ねて棚にした。

木を切って山に手を入れていくと、どんどんきれいになっていく。
小さい頃からの記憶の中で、山の中は湿気ていて地面はいつもジメジメしていた。
それが、木がなくなり風が入り始めると、濡れていた地面が乾くようになった。
手を入れれば山がきれいになり、居心地がよくなる。
それを肌で感じる。

高校時代に出会った人は今でも大きな財産となっている。
町の高校に通うようになって初めて純喫茶に行くようになった。
学校の近くにあるその店の前を通ると、コーヒーの良い匂いが漂ってくる。
格好つけてっていうのも半分あったかな。
バイトや部活がない日に、帰りのバスがくるまでの時間に。
バイトで稼いだお金、コーヒー代の360円を握りしめて、店の中に入る。
ガキンチョが生意気にもカウンターに座ったりして。
優しいマスターが俺たちの話を聞いてくれる。
山で遊んでいることを伝えると、マスターも登山が好きだったようで、他の山好きのお客さんと俺たちとを繋いでくれた。
純喫茶というコミュニティーから付き合いが広がる、世界がまたさらに繋がっていく。
高校卒業後はインフラを整備する企業に就職。
「これからは自分で金を稼いで生きていくんだな」
そんな覚悟を決める。
社会人になって車を買うときも、やっぱり旧車が欲しくて。
ローレルとかスカイラインジャパンとか、そういう古いやつ。
いざ買うっていうときに、躊躇した。
就職した会社は転勤や出張が多い。日本全国だ。
転勤で県外の、それも遠くに行くかもしれないっていうときに、いつ壊れるかわからない旧車に乗るのは怖いなって。
そんな時、父親が中古の安い軽自動車を見つけてきてくれて。
カッコ悪いなとは思ったんだけど。
「初めのうちはこんなんでいいんだ」
って言われて渋々乗っていた。
友達にジムニーに乗っているやつがいて。
ジムニーは四駆で車高が高くて山にも行きやすい。
カタチもかっこかわいい。
友達の影響を受けて初めてのボーナスを使ってセカンドカーとなるジムニーを買うことになる。

社会人になっても山遊びは続けている。
裏山のほかにも八石山、黒姫山の整備を手伝い、鵜川にあるプライベートキャンプ場でも遊んでいる。
小学校では総合学習の時間に地域の自然や動物の話をすることもある。
一緒に山を整備している仲間とは
「山に手を入れてきれいになったその先を見てみたい」
と話をしている。
俺たちだけが楽しむのではなく、みんなが集まれる場所になったらいい。
史跡好きな人が山城の跡を見に来る。
トレッキングコースを作り、頂上に咲くカタクリの花を楽しむ。
子どもが火をおこしたり、指切りながらナイフの使い方を覚えたり。

「もーぞー」って言葉、知ってるかな。
このあたりの方言で「騒ぎなヤツ、落ち着きがないヤツ」って意味だ。
山での出会いや発見がいつになっても面白い。
こうやっていつまでもガキの様に「もーぞー」こいて、目をキラキラさせていたい。
photo:ヒロスイ