別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。
そんな想いでこの記事を書きます。
加藤 大和
柏崎市出身。
小さい頃から実家裏の山で遊ぶ。竹や木を伐り山の整備を行う。
郷土史やバイク、アウトドア、キャンプが好き。
いろんな人が自分たちのやりたいことを山の中で出来るよう、仲間たちと一緒に里山を整備中。

中学校卒業後の進路を考えたとき、三つの選択肢があった。
小学生の頃の夢は世界一周でミリタリーにも興味があったから、自衛隊。
次に海洋高校。
船でロシアへ遠洋実習しに行くんだ。
釣りが好きで遠くに行きたい。
あとはまぁここから逃げ出したいっていうのもあって。
結局最後の選択肢である柏崎の高校に進む。
「世界が広がった!」
高校へ入学してすぐに感じる。
中学校とは違って同級生が200人くらいいる。
いろんなやつがいる。

16歳になれば原付免許が取れる。
バイクが欲しくてすぐにバイトを始める。
免許を取って最初に乗ったのは従兄弟からもらったYAMAHAのメイト。
Hondaで言うところの、カブみたいなバイクだ。
メイトのあとはCL50というHondaの原付バイク。
「近所に乗っている様子の無いCL50があるぞ」という噂を聞きつけて。
その家まで行ってみると確かに家の前に埃をかぶったCL50がある。
ピンポンを鳴らして住人に尋ねる。
「あの、そこに置いてあるバイク乗っていないなら、譲ってくれませんか」
「うちの倅がのってたんだけど、いま乗ってないから持っていきな」
お金を払おうとするけど、いいよいいよ持っていきな!というご厚意を頂く。

埃かぶるくらい動かしてないから、当然エンジンはかからないよね。
家までの数キロを押して帰った。
父親に直してもらい、バイクの修理の仕方を習う。
俺は優しい大人たちに恵まれてるんだと思う。
このあと旧車に目覚め始めるんだけど。
どうしても乗りたいバイクがあったんだけどさ。
絶版車でなかなか手に入らない。
運よく中古で見つけられたとしても、高価な値段が付いている。
欲しくて欲しくてたまらないこのバイクを、思わぬ出会いから俺は手にすることになる。
俺は長男だったからなるべく地域のお祭りや行事には顔を出すようにしていた。
そこで地域のいろんな大人たちと話していた。
ある集まりの時、地域のおっちゃんとお前バイク乗ってんのか、何乗ってんだみたいな話になって。
「これから中免を取るよ。今欲しいのはRZ250RR。けどなかなか手に入らないんだ」
なんて話をする。
その話を聞いた、近所に住む人が
「お前若いのにシブいの好きだな。そういえば、近所に住んでるあいつの家に、そのバイクあったぞ」
と言う。
すぐさまその家に行き、前回の様に交渉。
今回は250ccのバイク。原付とはわけが違う。
お金を支払おうとするけど、何を言っても受け取ってくれない。
さすがにただというわけにはいかないから、ビールひと箱を渡す。

このバイクも修理が必要で、父親の知り合いの整備工場に出すことにした。
修理代はバイト代で支払えるくらいに抑えてくれた。
中古でそのバイクを買えば三倍くらいの金額がしただろうな。
出会いや縁ってありがたい。
高校に入ると山遊びも復活した。
高1の夏休み、友達から
「おい加藤。いま何してる。暇ならウチで肉焼かない?」
と誘われて。
そいつの家行き、言われるままに家の裏手にまわると、ござが引いてあって。
友達とその母親が七輪を囲んでいる。
七輪の炭を団扇でパタパタさせて肉を焼いている。
「肉を焼くって、てっきりバーベキューかと思ったけど…。どんな絵面?」
どういうことだ、と思ったものの、七輪で肉を焼いてみるとこれが結構面白い。
バーベキューとは違って渋い、それがいいんだ。

それからまた山に入るようになっていく。
山で火を起こして野菜や肉を焼く。
コーヒーを入れて飲む。
野営もした。
特別なことをするわけじゃないけど、外で、山で何かするのが面白い。
数えきれないほどの時間を山の中で過ごした。
episode3へ続く
photo:ヒロスイ