柏崎市に現存する歴史の長い企業や工房 〜第4回 株式会社 越後みそ西〜

柏崎市に現存し、令和の現在も続いている、歴史の長い企業や工房をご存知ですか?
まちからコーディネーターが調べた5社の皆様に、会社や工房の「歴史、変遷、今の思いとこれから」をテーマに伺いました。

身近な場所も日本や世界の歴史と比較すると、長く続くこと自体に価値を感じます。ですが、長く続けられているのには理由があります。

第4回は「株式会社 越後みそ西」様です。

賢者は歴史に学ぶ。
柏崎の生活や社会に溶け込んだ悠久の歴史と、今を生きる柔軟な方々のマインドに触れてみて下さい。

株式会社越後みそ西

190年前、醤油醸造業から始まった越後みそ西。現在は味噌を中心に製造、販売しています。
前身となる株式会社にしまきの事業を引き継ぎ、1999年に株式会社越後みそ西となりました。
昭和期にはタカラパンや柏崎初の洋食レストランをオープン。フードタカラの運営など、柏崎の食文化のそばにあり続けています。

ー創業した場所について
創業時は西本町で醤油や味噌を作っていました。柏崎神社の裏側に蔵があって、醤油や味噌の醸造をしていました。今は東本町に移転されましたが、柏崎神社の横にあったすみれ屋さんの近くですね。
昭和7年に前身である株式会社にしまきが製パン業を始め、パンの製造所を作るのに合わせて、昭和44年に蔵を新道に移転させました。そして現在に至ります。

ー創業からの変遷
前身である株式会社にしまきは、もともと醤油醸造業です。昭和の時代にかけてパンの製造所を作ったり、柏崎初の洋食レストランを開設したり、フードタカラというスーパーを運営したりと、多角化した経緯があります。
その後、1999年に株式会社越後みそ西を設立し、醤油や味噌の製造販売を引き継ぎました。移転前から現在も酵母を自家培養しているのですが、移転当初は味噌の味が安定しなくて苦労したと聞いています。

今も当時の味を引き継いで作っていますが、温度や湿度、時代が変われば環境や材料も変わり、実際は少しずつ味も変わってきています。
変わらないことは、思いとして「味噌をこういう状態でお客さんに提供したい」ということです。こういう状態というのを説明するのは難しいですが、現在も杜氏が麹むろで米こうじをおこし、味を確認しながら作っています。

環境づくりとして機械化に挑戦することも一つの方法だと思いますが、私たちとしては人の目と手を使うこと、五感を大切にすることで、越後みそ西らしい味を生んでいます。五感を大事にした結果、「この味だったのよ!」と変わらずに言っていただくこともあります。

もう一つ変わっていないところは、木桶で作るということです。木桶は100年以上使っています。酒蔵さんで使っていたものを譲り受けているので、酒蔵での期間を含めると200年以上のものもあります。
大型の木桶は全部で10基。譲り受けたものなので、写真の桶は十三号と書かれていますね。

味噌を作るのに、種類によって最短で3~4ヶ月くらいかかるので、そのペースで木桶を使い回しながら続けています。逆に使わないとすぐに朽ちてしまいますね。一時期、工場に来られた方へお見せする木桶を外に置いたのですが、すぐに朽ちてしまいました。

ー現在の仕事と、これからについて
店舗としては新道の本社工場を基点に、西本町と弥彦神社のふもとにお店があります。三階節みそをはじめとした味噌、味噌漬け、醤油、塩麹や甘酒、新潟の名産品を販売しています。新潟の名産品はスタッフがご紹介したい逸品を自ら目利を利かせて、置かせていただいています。

味噌や醤油は誰かに使ってもらって、生きる商品です。そして消費量や生産量が下がっている現状もあります。そうした状況を打破していくために、若者世代や市内外に広く使ってもらえるようにしていかなければなりません。

そのためにお菓子屋さんとコラボ商品を作ったり、みそラーメンの食べ歩きスタンプラリーをするなど、いろんな方法でお客様との接点を増やしています。

前身の株式会社にしまきでは古いものを守り続けるということだけではなく、新しいものも取り入れるというのが社風でした。そういう考え方を引き継ぎつつ、「こういうものをお客様に届けたい」と舵を切ること、軸はブレないようにしたいと考えています。

私たちが作るみそは、この柏崎の新道にしかない温度や湿度、根付いた酵母、そして今いる杜氏の目と手によって作られるものです。生産量は決して多くないし、原材料もコシヒカリなど高級なものを使っているので原価率も高い。全てはこの味を生むためです。
この場所でしか作れない味を継承していくと同時に、ここでしかできないものとして価値を高めていきたいですね。

問い合わせ先

株式会社 越後みそ西
TEL:0257-23-1893(本社工場) 0257-21-0039(西本町店) 0256-77-8562(弥彦笹屋店)
WEB:https://misonishi.jp
facebook:https://www.facebook.com/misonishi
instagram:@echigomisonishi

2022年3月7日 17:00

カテゴリー / まちから

投稿者 / nakajima