絶滅から復活を遂げた、西中通の刈羽節成きゅうり物語、そしてこれから。

柏崎市の「元気なまちづくり事業補助金」は例年秋に中間報告会を開催していましたが、今年度はコロナの影響で開催できず…。
そこで、今年度採択された5団体の今をブログでお伝えしていきます!

ふしなり加工部【伝統野菜「刈羽節成きゅうり」を通じた子供達への地域愛の育成】

元気なまちづくり事業補助金の採択団体のひとつで、刈羽節成きゅうりを使った漬物の加工販売を行う「ふしなり加工部」の皆さん。西中通地区、槇原小学校の近くに立つ「にしなか菜々彩工房」で活動を行っています。

にしなか菜々彩工房の紹介ページ(柏崎市ホームページ)

補助金を受けて行おうとしている事業は、①地域の子どもたちと一緒にきゅうりの栽培活動、②小学生ときゅうりを使った新しいレシピ作り、③ふしなり加工部の歴史とこれからの担い手獲得を目指した冊子作りです。

刈羽節成きゅうりをご存知ですか?
この品種はきゅうりの原種の一つとして、1960年代の西中通地区のみで育てられてきた希少な品種です。普通のきゅうりと違い、身が大きく、皮がしっかりついています。一見するとウリのようです。

当時の柏崎できゅうりと言ったら刈羽節成きゅうりというくらい有名でしたが、新しいきゅうりの品種が生まれたり、栽培者が減ったりといった時代の変遷の中で、栽培が途絶え絶滅したと伝えられてきました。
その痕跡として、西中通地区に伝わる歌や演劇の中で、刈羽節成きゅうりという言説が出てくるようです。

絶滅してしまった刈羽節成きゅうり。ある時、言説が出てくる演劇を地域の皆さんが行っていた時、改めて種を探してみないか、という機運が高まります。
絶滅したと伝えられ約40年。存在を伝え聞く人も減っていく中、とある種苗会社に種が保存されていることがわかります。

2008年にその種をもとに手探りで栽培を再開し、約40年ぶりに刈羽節成きゅうりが復活を遂げます。それから地域の農家で働く女性7名で「にしなか菜々彩工房」を立ち上げ、現在の漬物加工を始めました。

ですが、今度はメンバーの高齢化に伴い、活動が再度ストップしてしまいます。にしなか菜々彩工房は一時休業を余儀なくされましたが、現在は新しいメンバー数名と週に1日、楽しみながらもなんとか漬物を作っている状況です。

ふしなり加工部の皆さんのモチベーションの一つは、刈羽節成きゅうりという歴史ある食財を通じた、子どもたちとの交流にあります。地域の小学校と連携して、地元の歴史や地産地消などの教育活動も積極的に行ってきました。
しかし今年度は感染症渦もあり、子どもたちと積極的に活動することができずにいます。補助金事業のレシピ作りなどはなかなか難しそうです。
また、元気に栽培や漬物作りに邁進したいという気持ちとうらはらに、高齢化や今後の継続について不安もお持ちです。

今回の事業では、自分たちも楽しみながら刈羽節成きゅうりのことを伝えることを目標としています。ひいては新しい担い手になってくれる人を探しています。現実として先細りする中で、一緒に活動に参加してくれる人を求めています。

補助金を受けている以上、事業目標を達成するべく動いている皆さんですが、この活動を通して伝えたい、気づいて欲しいのは刈羽節成きゅうりの歴史と漬物の美味しさ、そして刈羽節成きゅうりを取り巻くストーリーを紡いでいってくれる後継者なのです。

2021年10月21日 20:44

カテゴリー / まちから

投稿者 / nakajima