愛する神話を語る二人の輝きはすごかった…
皆さんこんにちは。辻本です!
突然ですが「神話」好きですか?
日本神話だと、「ナントカノミコト」とか「ナントカヌシ」(ごめんなさい、覚えられない…)が出てくる「古事記」や「日本書紀」、「風土記」に伝わる物語、ギリシャ神話だと星座と共に語られる神々たちの話が有名ですね。
大昔から、それぞれの民族に固有の伝承が脈々と受け継がれ続けていて、民族としてのプライドさえ表れる奥深い世界。そんな神話に魅せられた二人がここ、柏崎で出会いました。
一人は、日本神話をこよなく愛するaisaの外部メンター、矢島衛(やじままもる)氏。
もう一人はaisaが業務でサポートしている矢田地域の地域おこし協力隊、山田華緒李(やまだかおり)さんです。彼女は中国の少数民族「苗族(ミャオ族)」が作る布、「亮布(リャンプー)」のマニア。苗族に伝わる神話を亮布に乗せて、亮布をプロデュースしようと活動中。
実は、山田さんのfacebook投稿のコメント欄から実現した日中神話談義。
「日本神話」と中国の少数民族「苗族」の神話。神話を愛する二人の唯一無二のセッションの記録をレポートします!
(2時間にも及ぶ対談は文字起こしすると8ページ(5000文字!)にもなってしまったので、抜粋&2回に分けてお届けします)
神話に見えた共通性
矢島(以下、矢):苗族の神話に出てくる動物は何が多いの?
山田(以下、山):よく見るのは12個の卵の話に出てくる動物。苗族の神話では、蝶が産んだ12個の卵から人間や龍、トラ、水牛が生まれたと伝えられています。ただ、文献に12個全部書いてあるのはあんまりなくて、モノによっては鬼も生まれたりもしていますね。
矢:(山田さんのイベントで販売する亮布のブックカバーには蛇が登場するが、)蛇の神話はどんななの?
山:蛇は龍の化身とされていて、今回は蛇のブックカバーを作りました。
龍はおっかない印象を持たれているんです。龍が出てくるお話しだと、こういうのがあります。
父と子が釣りに行って息子が川に連れ去られてしまったんです。悲しんだ父はよくよく見てみると龍の仕業だと分かったそうです。川の底には龍の穴みたいなのがあって、そこでは龍が息子を枕にして寝ていたと。(矢:死体を枕にしてたの?すごいな龍笑)怒った父は大火を池にはなった。すると、天が暗闇に飲まれてしまったんです。世界が真っ暗な時に、今度は別の母と娘が出てきて、二人がお互いどこにいるか分かるように、川の水をたたき合っていると、リズムが心地よかったからか、闇が晴れた。
暗闇が晴れると、龍の死骸が流れ着いているのが見えたんだそうです。龍の肉をみんなで分けよう、というコトになり、周辺の村で分けました。肉を分け終わった後、龍が人々の夢の中に出てきました。息子の命を奪ったことを龍が詫びて、これからは龍の形をかたどって船をつくれば五穀豊穣になると言いました。
今では、日本の5月5日くらいに、龍をかたどった船が龍の肉を分けた村を回るお祭りがあるようです。
矢:日本の神話の龍とか蛇の話で有名なのは「ヤマタノオロチ」だよね。
スサノヲが出雲の国にやってきたときに泣いてるお父さんとお母さんがいたのね。そうそう、日本の神話って、名前が全部その神自身を表すのね。泣いてた人はあしなづち、てなづちという名前の神様だったんだけど、娘のあしをなでていたから、てをなでていたからその名前になった。子どもをいとおしむ神様だったんだよね。
で、その二人が泣いている所にスサノヲがやってきて、どうしたの?と聞くと、「娘がたくさんいたが、ヤマタノオロチに食われてしまった。今日は最後の娘の日なので泣いています」といったんだよね。そこでスサノヲは「倒してやるから嫁にくれ」と言って、ヤマタノオロチを倒し、その娘を嫁にもらった。
「アンドロメダ・ペルセウス型」って言って、子供や女性が化け物に飲み込まれそうになって、そこにヒーローがやってきて、その子を嫁にもらうって話が世界のいろんな神話にもあって。今の蛇の話を聞くと、自分の子供を持ってかれる、っていうのが似てるよね。
山:ヒーローの話もある気がして…。昔王様がいて、家来に犬がいた。戦で手柄を立てた犬に娘をやったという話があったと思います。
矢:違う生き物と結ばれるっていう話はよくあって。異類婚姻譚っていって鶴の恩返しとかが例だよね。別種族にルーツがある話は超越性とか権威を高めるため使われることがあったって言われているよね。
(中略)
矢:天上に柱があって、その柱をイザナミとイザナキのお互いが回って、出会ったところで声をかけて、結ばれて、日本列島が生まれていくっていう話があって…
山:ピッタリ出会うっていうところでいうと似た話があります。洪水神話なんですけど、天上の雷神と争って、大洪水を起こされ、その時ヒョウタンに乗った最初に生まれた人間である兄と妹が生き延びるんです。その時、山からウスが転がり落ちてくるんだったかな、そのウスがぴったり重なったから兄と妹が結婚したみたいな話がありました。
矢:イザナミとイザナキもきょうだいだったよね。イザナミとイザナキが最初に生んだのは蛭子だった。グニャグニャしててちゃんと育たなかったから、海に流した。そこで相談して柱で出会ったときに最初に女から声をかけたのがだめだったんじゃないかと。そこでやり直して日本の国や神様がうまれたんだよね。
矢:洪水神話は中国の南部~東南アジアにかけてみられるんだって。
山:そういえば、さっきの兄妹が最初に産んだ子も肉塊でした!肉塊が生まれる話は衝撃的すぎて…笑
矢:さっきの闇が晴れる神話があったじゃん。日本にはアマテラスオオミカミが岩屋にこもったから世界が暗くなったという神話があるんだけど、ひっぱりだすために天の岩戸の前でパーティするんだよね。女の神様が踊るとほかの神様がすごく喜んで、にぎやかになった。その様子が気になったアマテラスオオミカミが岩屋の中から外をのぞいた瞬間、ほかの神様がアマテラスオオミカミを掴んで引っ張り出して世界が明るくなった。世界が明るくなる、みたいな話は日本神話にもあったね。
…
ひとまず、第1回の前半はここまで!お互いが知る神話の共通している所や違いを見出したりとお互いの知識の引き出しが垣間見える対談でした。太古の昔から今日まで語り継がれ、今なお人の心をつかんで離さない神話。重ねてきた歴史を想うと一層味わい深く感じます。
後半は日中の神話に登場する動物たちの話や食べ物の話です。お楽しみに!