別アングル 霜田 真紀子 episode.3

別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。

霜田 真紀子(しもだ まきこ)

柏崎市生まれ。シモダ産業株式会社 常務取締役 営業企画部部長。
シモダ産業による新しい農園、シモダファームを立ち上げ、ブランドバナナ「越後バナーナ」の栽培を開始。
「越後バナーナ」のブランド化を通じて持続可能な地域貢献を目指す。

継続できるまちづくりとはなんだろう。
CSRとしてボランティア活動を行うことができれば、それはとても良いこと。
しかし従業員や会社の負担になり、継続しないんじゃないかな。
会社の事業がそのまま、まちづくりや地域貢献につながるようなことができれば…。

何かできることはないかとは思いつつも、なかなかきっかけをつかめない。
日常の会社の仕事を回していくことで精いっぱい。
会社の上の人たちに話してみてもいまひとつピンと来ないようで、理解してもらえない。
会社の事業を通じた地域貢献をしたいと伝えても
「それをやる意味はなんなんだ」って。

中越沖地震発生から10年が経つころ。
地震で施設が使えなくなりストップしたままの産業廃棄物処理の事業が、再開に向けて動き始める。
地震で復旧不可能になった内部の焼却施設を取り出し、設備を新しく設置する計画だ。

産業廃棄物処理事業のスタート後、しばらくして社長から、
「産廃焼却の排熱を利用した事業をやる。排熱を使ってビニールハウスでバナナを育てるぞ」
という話が出た。
以前からそんな事は言っていた。
けれど産業廃棄物処理事業は再スタートしたばかり。
事業を軌道に乗せるのが最優先で、それどころでは無かった。

私がまずしたことは、バナナの栽培をやめてもらうよう説得すること。
だって新潟でバナナを育てている人なんていないもの。
教えてくれる人がいない。
苗もどこで売ってるかわからない。
リスクが高すぎる。
「トマトやイチゴにしませんか」
焼却施設の排熱利用が目的なら、バナナ以外の作物でもできる。

しかし社長は、
「フィリピンで食べた完熟バナナのおいしさが忘れられない。
おいしいバナナを柏崎で作って、みんなで食べたいんだ」と、
強い思いで突き進む。
結局、根負け。バナナ事業をスタートすることになった。

そうと決まったらやるしかない。
作るのであれば、おいしいものを作りたい。
数ある中からおいしくて必要量が確保できる種苗会社を見つけ、契約まで進むことができた。
バナナは「越後バナーナ」と名付け、2019年に苗を定植。
2020年に無事初収穫できた。

シモダ産業がバナナを作る理由。
社長は
「柏崎でつくったおいしいバナナをみんなで食べたい」
という熱い想いがある。
私は
「バナナをきっかけにシモダ産業を知ってもらいたい」
という願いがある。

シモダ産業の仕事は一般の人にはわかりづらい。
私たちが作っている製品は、車の部品を作るために必要な型とその素材を作っているから、直接はお客さんのところに届かない。
しかしバナナは直接、一般のお客さんのところに届けることができる。
いままでのシモダ産業の製品ではできなかったことが、できるようになる。

会社の事業を通じた地域貢献もバナナならやれる。
人が捨てたごみを焼却して出た排熱で水を温め、温水をビニールハウス内へ巡らせてバナナが栽培可能な温度を保つ。雇用を生み出し地域のブランド品を作る。

いまやっていることがどれだけ人の役に立っているか。
車ができる、ごみを焼却している、ということだけでなく。
地域に雇用を生み、特産品を作り出していること。
排熱を利用して環境のためになっていること。
従業員にわかってほしい。
会社への愛着を持てるようにしたい。
すべては良いことのために繋がっていることを、従業員に理解してほしい。

最近はありがたいことに小中学校の総合学習支援の授業に参加させてもらっている。
バナナのことを通じて環境問題やSDGs、まちづくりについて話をする。
子どもたちの未来に繋がることのお手伝いができるのは、とてもやりがいがある。
子どもたちは柏崎のまちの未来そのものだから。
就職や進学でまちを出てしまっても、もどるきっかけになったらいいな。
離れていても「良いまちだったな」って思ってもらえたら、嬉しい。

photo:ヒロスイ

2021年2月23日 17:30

カテゴリー / まちから

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投稿者 / yajima