別アングル 小林 雪恵 episode.2

別アングルは柏崎の魅力的な人を取材して、その人の情熱や生き方を紹介するインタビュー記事です。
お話を伺うのは、仕事、遊び、趣味など、何かひとつのことに打ち込む人たち。
動機は、好きだから、楽しいから、気が付いたらやっていたからと、いたってシンプル。
それが結果として人を喜ばせ、地域のためになっている。
別アングルから見るとまちづくりになっている。
魅力的なひとの存在に気づけば、またさらに柏崎が好きになれるはず。
そんな想いでこの記事を書きます。

小林 雪恵(こばやし ゆきえ)

柏崎市生まれ。株式会社 koyukino バイヤー。
海外の雑貨や家具の仕入れを担当。独自の感性を活かし、自ら開拓した仕入れルートを世界中に持つ。
オンラインショップの運営の他に、2020年7月、市内に実店舗をオープン予定。

上京後は専門学校に行きながら、バイトして遊ぶお金を稼ぐ日々。
大好きだったライブにもたくさん行った。
ライブ後は、打ち上げに参加して朝まで飲む。
翌朝は寝坊。
午前中の授業はさぼって午後から登校する。

住むのは学校の斡旋するアパート。
ぼろかったけど、同じ学校の友達がたくさん住んでいた。
派手なカラーに髪を染める。
耳にたくさんピアスを開け、さらに唇にまでピアスを開ける。
どれも当時の流行だった。
その時しかできないことを学校の友達と楽しんだ。

美容室にもめちゃくちゃお金をかけた。
行くたびに髪を違う色に変えるの。
頻繁に美容室へ通うことで顔を覚えてもらい、卒業後に雇ってもらえるように。
就職活動半分、遊び半分って感じだったな。

働き始めても、東京を楽しむ日々は続く。
美容室では営業の前にレッスンをする。
レッスンでは一般女性にモデルをお願いする。
モデルを探すために朝8時から、ラフォーレの客や表参道で働く人に声をかける。
9時にレッスン開始。
11時から営業を始めて21時に店を閉め、23時までレッスン。
お店を出て下北沢に移動して、また終電までモデルを探すために声をかける。
そのまま下北沢で朝まで飲む。
その繰り返し。
若かったなぁって思う。

美容室にはヘアメイク事務所があって。
土日はそこで、アシスタントもやった。
手掛けるのは芸能人、雑誌モデル、ミュージシャン。
照明のあたる表舞台とは違った、制作の裏側を見ることができたの。
「キラキラした東京の世界、見る側から作る側になれるなんて!」
テンション上がったなぁ。
もちろん、休日手当なんて出なかったけどね。
きつい仕事だったけど楽しい毎日だった。
やめたいと思った時も、ちょっとはあった。
それでも続けられたのは楽しさが勝っていたから。

職場ではアシスタントの期間が長かった。
なかなか美容師デビューができない。
理由はカットが苦手だったから。
遊びに熱心で、美容の仕事に情熱もなかったからね。
そもそも業界に入ったのも、なりゆきだし。
だけどこの仕事をやめようとは思わなかった。
「いまの私が東京でできる仕事は美容だけだ」って。

ちょうどその頃かな?
カラーが理論で説明できるようになってきたの。
それまでヘアカラーは、感覚で薬品を決めて髪の色を染めていた。
後輩に指導するときもなんとなくで伝える感じ。
アートだったものが科学的に説明できるようになった。
カラーの技術は海外から来るものが多い。
このころやっと日本でも有名カラーリストが出始めてさ。
もともと学校でも答えの出る勉強、例えば数学とかが好きだったからね。
「カラーだったら興味あるかも」
カットしたくないっていう、半分逃げの気持ちもなかったとは言い切れない。
けど運よく進む道が見つかった。
私の人生たまたまが結構多い。
タイミング良くてラッキー!

働いていた美容室を辞めて、カラーリスト育成学校に社会人として入学。
卒業後は有名メークアップアーティストが手掛ける美容室に就職した。
アシスタントを経てカラーリストデビューも果たした。
仕事ができるようになれば、売上ノルマや後輩の教育など責任も重くなってゆく。
順調だったけど
「疲れた。小さいお店に転職するかフリーになろうかな」
って思い始めた。
けれど独立起業するほどのパワーはない。

次の行先も決めないまま、とりあえず少し休憩しようと思い仕事を辞めた。

episode.3へ、つづく

photo:ヒロスイ

2020年7月2日 16:59

カテゴリー / まちから

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投稿者 / yajima