こんにちは、タキザワです。
今年の聞き書き甲子園でやってくる学生たちも決定し、いよいよ来月は研修が始まります。
自らの足で知らない人の元を訪れるって、学生からしたら大冒険だと思うんですがどうでしょう?不安とかありますかね?そういう不安とか心配は、期待や楽しみとないまぜにしてしまって、ちょっと知らん人の生活を覗きに来るみたいな感覚でいいと思います。私たちもサポートしますんで!
ということで、名人の紹介をしていきます。
3人目にご紹介する名人は、柏崎の中でも雪深い地域となる門出(かどいで)で手漉き和紙を作る紙漉き職人の小林康生さんです。

康生さんの工房では、春に紙の原料となる楮(こうぞ)の木の手入れをするところから始まります。地面の雑草や楮のいらない枝芽を取る作業を、収穫が行われる降雪前の11月まで繰り返します。収穫される頃には、枝の長さは3〜4mほどになります。

収穫された楮は1mほどの長さにして大きな釜で蒸します。楮の中でも、紙の材料として利用するのは皮の部分だけなので、蒸すことで枝と皮が剥がれやすくなります。それを熱々のうちに手早く剥がしていきます。
その後、剥いた皮の表面を包丁を使って表皮を削っていきます。これが紙の原料に使われるなぜ皮というものになっていきます。削る皮の量によってなぜ皮、白皮と分けられ、紙の白さが変わってくるそうです。こうしてできたものは乾燥させて保存します。
原料として使う時は水で戻した楮を大釜で煮て、あく抜きをし、ちりや傷を取り除いていきます。
ここまでくると、楮の繊維はもろもろと崩れやすくなっているので、あとは機械で繊維をバラバラにします。
あとは、この楮の繊維とトロロアオイの根から採れる粘液を混ぜて紙を漉いていきます。

育てる紙と作る紙は大違い
康生さんが40代の頃、使い手からは真っ白の紙、水に強い紙、墨のよく染みる紙、そういう自然界にはない要望が多くなっていました。その要望に対して作り手は薬剤や漂白剤など、文明の力を用いて対応していきました。
「40代になった時に気づいたことは、育てる紙と作る紙は大違いということ。
作るというのは何でも「自分が」から出発する。その「自分が」を達成するためにいろんな手段を講じて目的を達成するという自己中心の方向で向かう。
育てるというのは、育てられる相手と折り合いをつけなければいけない。自分が育てた楮が真っ白に晒されて劣化させられる、繊維を弱らせられるのを見ると不憫に思えてくる、かわいそうだなぁと思う。真っ当な楮にも人生を歩ませてあげたい、そういう心が働いてくる。
それから、使い手だけに合わせることはやめよう、楮がなりたい紙を作る方が基本だと40代の頃から考えが変わってきて今日に至っている。」
こうして自然と寄り添った紙を作る「育てる紙屋」として今日も紙を作っています。
大切なことは自分の耳で聞いてきて
他にももっと色々なお話を聞いたんですが、やっぱり自分で聞いた方が面白いと思うんですよね。だからあとは来てからのお楽しみってことで。
どんな子達がやって来るのか楽しみです(^^)