社会を良くする挑戦者たちvol.05

地域の魅力が詰まった食を通して別俣(べつまた)のファンを
増やしたい 地域内外を繋ぐ、そば処清流庵の挑戦

 皆さんは別俣という地域をご存知でしょうか?黒姫山の麓にある盆地で、久米・水上・細越の3集落からなる農山村地域です。柏崎の中でも雪深い地域の1つで、春には山菜が採れ、田んぼが広がる自然豊かな土地です。地域の中央部には、柏崎にある木造校舎のなかで、最後まで開校していた旧別俣小学校があり、現在は農村体験交流施設として食堂や体験教室の会場に活用されています。そこを利用して、月に3日だけ営業するそば屋があります。
 昨年の春に開業した「そば処清流庵(以下、清流庵)」の代表小暮さんと西須さんは、もっと別俣の良さを広めたいと日々活動しています。

 清流庵で提供される料理は「なりわいの匠」の技術を活かし、別俣で採れたものを使用している点が特徴です。なりわいの匠とは、新潟県が認定する農山漁村体験のインストラクター制度です。別俣には、地域の暮らしの中で培われた技術や経験を指導できる匠が50名ほどおり、米作りの匠、里神楽の匠などその種類は多岐に渡ります。
 代表の小暮さんも、若い頃から母親がそばを打つ姿を間近で見ていて、自身も20年ほど前からそばを打ち始め、今では「そば打ちの匠」として認定を受けるほどの腕前です。そばと共に提供されるのは、「郷土料理の匠」である西須さんの自家製野菜や山の幸を使ったおかずの数々です。「山菜・きのこ採りの匠」である小暮さん、西須さんの旦那さんが採ってきた季節の山菜が使われています。
 また、そば屋の営業以外に耕作放棄地の活用も進めています。使われなくなった畑を借りてそばを栽培し、別俣産はさかけそばをブランド化しようと試みています。

メニューの一つである天ぷらそば。そばは二八蕎麦で、つなぎにふのりを使っています。
天ぷらは季節の野菜が使われており、その他にゼンマイや筍などの山菜のおかずやお新香がついてきます。

 こうした活動を通して別俣の魅力を伝えていくことで、地域に訪れる人を増やしたいと考えています。
全国の中山間地域で起こっている少子高齢化・過疎化の問題は別俣も例外ではなく、若い人は市街に引っ越していき、高齢化・過疎化は進む一方です。
 「沢山の人が行き交い、活気溢れる地域にしたい。」小暮さんたちは、そばを食べに来ることをきっかけに、お客さんに何度も別俣に足を運んでもらいたいと思っています。遠くから来た人たちのお土産にと手作りの味噌や笹団子、手芸品などを販売しています。家族や知人にも渡してもらうことで多くの人に別俣を知ってもらう狙いがあります。
 「美味しかった、また来るねと言ってもらえるのはやはり嬉しい。人に来てもらえると、次も頑張ろうという気持ちになる。」と小暮さんたちは言います。

 地域外の人だけでなく、地域内の人にももっと訪れてほしいと思っています。それは小暮さんたちが思い描く「元気な別俣の姿」からきているようです。「住民が元気であることが、地域の元気にも繋がる。」という西須さん。清流庵も、ただご飯を食べる場所ではなく住民同士の憩いの場になってほしい、また地域内外の人の交流の場となることも目指しています。

別俣の住民がそば処清流庵を利用している様子。ご飯を食べながら 話をすれば、自然と笑顔が溢れます。
「幅広い層に喜んでもらえるよう、メニューを工夫したい」 と小暮さん。

 今後はもっと多くの人に食を通して別俣を知ってもらえるよう、野外イベントの開催や施設訪問などの出張そば屋も視野に入れています。これからも別俣の良さを伝えていく清流庵の活動は続きます。

小暮八重子さん        西須ヒロ子さん

小暮さんは以前より、近隣地域の行事でそば打ちの先生をしていた経験があり、西須さんはその生徒でした。そば打ちの技術が上達した西須さんに小暮さんから声をかけ、共にそば屋を開業することを決心しました。現在は小暮さん・西須さん夫婦の他に、地域の方と清流庵を運営しています。

そば処清流庵
営業日:第3金・土・日曜日
住所:新潟県柏崎市大字久米1000-1
電話番号:090-1505-5295(小暮)

※この記事はシーズン柏崎2018年2月号「社会を良くする挑戦者たち vol.05」に掲載されたものです。
http://seasun-kashiwazaki.com

2018年2月11日 14:00

カテゴリー / あいさ

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投稿者 / hirata