未来を担う子どもたちに科学・ものづくりの楽しさを伝える
様々な手法で子供たちの想像力を育む小林代表の挑戦
柏崎といえば、日本で初めて本格的な石油精製が始まったまち、そしてそれに伴って機械金属工業が発展したものづくりのまちです。そんなものづくりのまち、柏崎において2年前より次世代を担う子どもたちに、ものづくりの楽しさを伝えている団体があります。その名も「STKサイエンスを楽しむ会(以下、STK)」。色々な形の万華鏡、ダンボールの空気砲、ペットボトルロケットなどの音・光・空気などを体感できる不思議な科学体験や、3Dプリンターやレーザー加工機を使った最先端のテクノロジーに触れられる科学、工作の教室は、柏崎市内に留まらず県内各地から開催依頼がくるほどの好評ぶりです 。
代表の小林功さんは「子どもたちに小さい時から科学や工作に触れてもらい、発見する喜びや、作る楽しさを感じて欲しい。」と考え、ものづくり教室を市内の公共施設やものづくり活性化センター、県立こども自然王国、県立自然科学館をはじめ新潟県内各地で年間約40件開催しています。まが玉づくりのような歴史的なものから、AIロボットを使った最先端のものまで実際に見て体験してもらうことで子どもたちの創造力、発想力を育んでいます。そして、子ども達が楽しんで参加していることはもちろん、一緒に参加している保護者が子どもの楽しそうな様子を見て、新たな子どもの一面を感じることができるのも魅力の一つです。

それぞれの作業スピードで進められるよう、作り方の説明書も 用意されています。

今や科学・工作教室が子どもたちに大人気の小林さんですが、昔から科学や工作に特別な興味があった訳ではありません。そんな小林さんに大きな人生の転機がありました。
市内の自動車部品の製造会社に勤める小林さんは、これまで仕事中心の生活で、忙しい毎日を送ってきました。50歳を過ぎ周りの状況にも変化があり、今までの忙しさから一転自分の時間を持つことになりました。最初の頃は良い骨休めになると思っていたそうですが、次第に違う感情が出てきたそうです。「今まで時間に追われ日々の大半を、仕事ばかりしていた大人にとって予定の無い休みほど辛いものはなかった。趣味があるわけでもなく、子どもも大きくなり手が離れている。やることも行く場所もなかった。」と自分には仕事以外に何もやることのないことに対する不安が襲ってきました。そんな時、ふと見つけた県立歴史博物館のボランティアに小林さんは救われたと言います。子どもたちや来場者の方々の楽しそうな顔を間近に見ていく中で、ボランティア仲間の勧めもあり、自分にも少しは出来るかな、柏崎の子どもたちにも何か体験させられないかなという思いが沸々とわいてきました。
そんな小林さんは、科学・工作教室を開催していくなかで次の夢も見つかりました。「自分みたいに同じ経験をした中高年や、仕事中心の生活から定年を迎え、やりたいことが見つからない人はたくさんいると思う。子どもから高齢者までどんな人も生活して行く上で必要なことは、今日行くところがあること。明日の予定があること。工作でも勉強でも、昔の遊びでもいい。誰かの行き場を創り出したい。」と、ものづくりの楽しさを通じて中高年や若い人たちが活躍できる拠点を作りたいと考えています。
「ものづくりのまち柏崎だからこそ、STKの教室をきっかけに誰かの将来に少しでも影響を与えながら、市内の柏崎工業高校や新潟工科大学、また、製造業の発展にも繋げていきたい。」と小林さんはSTKの未来のカタチを語ります。今、STKの教室に来ている子どもたちが20年後、30年後の柏崎のものづくりを担っているかもしれません。小林さんの更なる活躍に要注目です!
小林功さん STKサイエンスを楽しむ会代表。2015年に8名の柏崎市内の製造業関係者や小学校の教員を定年退職された方を加えて活動を開始しました。ものづくりの楽しさを子どもたちに伝えるだけでなく、工作教室で使われる材料などを地元の企業や障がい者事業所から調達することで、地域経済の循環を目指しています。
STKサイエンスを楽しむ会
電話番号:090-4591-1177(小林)
Facebook:https://www.facebook.com/STK.kashiwazaki/
※この記事はシーズン柏崎2018年1月号「社会を良くする挑戦者たち vol.04」に掲載されたものです。
http://seasun-kashiwazaki.com